「モチベーションが低い人が多い」「仕事に貪欲な人が少なくなった」
「最近は仕事一筋の時代ではなくなった」これは美容業界に関わらず、
どの業界でも働く人が、時折口にしている。
平成に入り、『3K(きつい、きたない、危険)』『ブラック企業』『社畜』という
ワードが流行り、長時間働くことや会社に依存する働き方に世間ではネガティブな
印象が根付いた。
確かに、仕事によって心身が病んだり、「仕事のための人生」といった働き方は
私も反対であるし、ライフワークバランスを整えながら生産性の高い働き方を
求めることは賛成である。
しかし、だからといってモチベーションや、やる気がなくてもよいのか。
私はそうであってはならない、そうあっては欲しくないと思っている。
米調査会社ギャラップが17年に世界139カ国のビジネスマンを対象に実施した
従業員のエンゲージメント(思い入れ)調査は衝撃的な内容だった。
日本は仕事に対して「熱意あふれる社員」の比率がわずか6%しかないことが
分かったのだ。米国の33%よりも大幅に低く、全体で132位と最下位クラスだった。
(日経ビジネス2021.1.11 No.2073 P37 特集「コロナ後の会社」 参照)
少し前の調査だが、これには驚きだ。そしてさらに驚くのが、日本での「やる気の
ない社員」の比率は約71%、「無気力な社員」は23%にのぼるそうなのだ。
このデータが真実であるなら、美容室も7割の社員がやる気のない美容師の集まり
なのだろうか。そうであるならば、現在のサロン経営者は今後も会社を維持していくのが
大変難しいであろうし、経営者を目指す人が少なくなるのもごく自然なことであろう。
先の記事に関連した内容でこのようなものを見つけた。
日本の「従業員エンゲージメント」が低い、4つの事情 (1/4)
2018年12月27日 07時12分 公開
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1812/27/news028.html
記事中では日本人が仕事に対するエンゲージメント(思い入れ)が低い理由は、
1、仕事内容の希薄な時間がある(立っていてもお金がもらえる)
2、オーバーコンプライアンス(ルールやチェック、監視が多く厳しい)
3、複雑な組織形態によるストレス(複雑なコミュニケーションが必要)
4、プロとしての自覚低下(役割と使命感が湧かない環境)
上記4つが関係しているということである。
これは私も一部同意できる部分がある。
いわゆる「会社勤めのサラリーマン」にとっては2、のオーバーコンプライアンスや
3、の複雑な組織形態によるストレスに関して、やる気がそがれることがあるかもしれない。
それこそ半沢直樹ではないが、「ルールやチェックが多くて仕事が思うように進まない」
「誰に何をどういう手段で確認すればよいかが複雑。根回しも大変」ということを
経験しているサラリーマンも多いであろう。
では、皆さんの美容室はどうであろうか?1~4が影響してやる気を失っているスタッフは
いないだろうか?
特に1、仕事内容の希薄や4、プロとしての自覚低下でいうと「仕事が与えられない新卒生」や
「いつまでも“私だけの役割”がもらえず使命感がわかないアシスタント」は
いないであろうか?おそらくこういったところからも離職に影響するであろう。
仕事のモチベーションは、働く環境に大きく左右されてしまうのは紛れもない事実だ。
しかし一方で、働く環境以上に自分自身のエンゲージメントや使命感、つまり
美容師という思い入れと熱意をもって日々現場に立つ美容師もいる。
びよう道 vol.1 PEEK-A-BOO・川島文夫さん
〜常に「半人前」の意識で、一生進化し続ける!〜
2019.02.22 リクエストQJナビDAILYより
言わずと知れた美容業界のレジェンド、川島文夫さんもその一人だろう。
川島文夫さんの“常に半人前という気持ちで一生進化し続ける精神”は、今の美容業界で
働く人々にとって、とても学びになるはずである。職場や人間関係といった環境でなく、
自分自身、そしてお客様と向き合い、とことんスキルとメンタルを追求する姿勢をもった
スタッフが一人でも多く自社にいたら、きっとそのサロンは発展していくはずだ。
極論、「やる気は自分次第」と言ってしまったらそれまでなのだが、川島文夫さんとまでは
いかなくとも、少しでもやる気に満ち溢れ成長意欲を持った若手美容師が、サロン内で
増えていくためには、そのサロン、その先輩がどれだけ熱意と志が高いかということが
大切なのではないだろうか。
たとえ挫け折れそうになることがあったとしても、誇りとやりがいを失わず、
美容師の素晴らしさとやりがいを伝え、皆さんがぜひ業界を盛り上げていってほしい。
大切なのは熱量、熱量は必ず伝染するはずです。
2021年01月22日