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【第10回 コラム】 辞めずに継続する力

 

サロン経営者や幹部たちは常にスタッフの「離職」という問題に悩まされている。

どうすれば辞めないか、どうすれば彼らがモチベーションを維持して練習し、

スタイリストデビューしてくれるか。面接の段階から学生を見極める力も試されるが、

スタッフの定着のためには、自社の教育制度や働き方の構築改善も必要である。

ご存知のとおり、経営のためには求人採用力だけでなく、スタッフの継続力も

大変重要なポイントなのである。

 2020年12月6日の日本経済新聞電子版『学校で「やり抜く力」は育つか』にて

下記のようなことが書かれていた。

 

 

 『人間の能力の中で、学力やIQ(知能指数)テストで計測できる「認知能力」以上に、忍耐力や好奇心、「やり抜く力」といった「非認知能力」が重要だと主張する研究者が増えている。非認知能力が高いと賃金も高いと結論づけた論文もあるほどだ。』

日本経済新聞電子版 2020/12/6 2:00 学校で「やり抜く力」は育つか
Global Economics Trends 編集委員 前田裕之
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66716300X21C20A1I00000/

 

 つまり、働くためには学力よりも継続力の方が重要だということである。

結局、どんなに学力が高くても、日々努力し、困難なことを乗り越えられなければ、

スキルやキャリアの向上は望めないし、それが最終的に賃金にも反映されるという内容だ。

完全同意はできないが、面白い意見である。

 

 では「やり抜く力」を育てるためにはどういったことが大切なのか。

同記事のなかで、実際に教員が子供たちに対して重要視した点が書かれている。

  

「教員は子供たちに、

(1)目標を設定することが重要

(2)その目標を達成するためには努力が大切

(3)失敗や挫折を建設的に考えることの重要性

(4)人間の能力は決して生まれつきのものではなく、努力によって変えられること――を随所で伝えるように指示された。

実際に子供たちをほめるときには、良い結果だけではなく、生徒の「努力」を

ほめることが推奨された。成功における努力の役割を強調するように助言された。」

 

 上記の4点は、教師のみにならず全ての教育者にとって抑えておくべきポイントであると私は感じる。

 

 記事の内容を踏まえ、教育者が被教育者(部下や学生)の成長を促すために

 

1、各人ごとに適切な目標設定をする

2、定期的に目標達成状況を聴く

3、努力に敬意を示す機会をつくる

4、失敗したことや未達成であった点を客観的に考え、分析する

5、また新たな目標設定をする

 

私はこういったシステムを用意して、回していくべきだと思う。

ただし注意が必要なのは、いくらシステムを用意しても被教育者に「継続する」

「やり抜く」力が身につかず、離職してしまうことは往々にしてあるということである。

 

モノゴトが続かない原因は千差万別。

 

例えば、

 

・目標に無理がある

・協力者やライバルがいない

・自分のペースを乱す原因がある(ペースを乱す人、環境、その他)

・他の目標や興味ができた(仕事、趣味、プライベート)

・フィードバックがない(適切な評価がされない)

・ご褒美がない(努力や目標達成の対価がない)

 

などなど、挙げたらきりがない。

 

こればかりは教育者が被教育者の1人ひとりに耳を傾け、指導助言してあげることが

最も継続力が身につく近道なのかもしれない。

 

本当に教育は大変だ。

特に「辞めさせない」ために、教育をするのは大変だ。

 

ただ、各サロンが教育をあきらめず、離職率を少しでも低くすることで、

業界は必ずポジティブな方向に向かっていくと、私は信じている。

 

 

 

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