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【第17回 コラム】 劣等感という思い込みはやめよう

私自身、昔読んでいた本を読み返すときがある。

良書に出会う機会は意外と少なく、さらに読んでも1回では腑に落ちなかったり、

すぐ忘れてしまうので、何度も何度も読み返し、自分の血肉にしていくのが私の読書法だ。

 

今回は、『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 著/ダイアモンド社)を

参考にしながら、お話をしていきたいと思う。

 

今の時期、

美容学校2年生の皆さんは、国家試験の合否や就職で頭がいっぱいかと思う。

 

「あの子は、なんでも手先が器用でいいな。私なんて不器用で時間もかかる。」

「あの子は有名サロンに内定をもらっていいな。私なんて面接で落ちてばっかり。」

 

あるいは、2020年の新入社員だったらこのようなことを考える時期かもしれません。

 

「あの子はもう堂々と入客している。私は人見知りだし、すぐ緊張して上手く話せない。」

「私は美容師に向いていないのかも。あの子みたいにカットできない。」

「もう次年度の新卒生が入社してくる。技術も接客も上手な子だったらどうしよう。」

 

学生も、新入社員も、この時期にこのような気持ちになるのも無理はない。

誰もが、誰かをうらやんだり、劣等感を感じたりするものである。

 

しかし、「誰かと比べることほど無意味なものはないし、そんな時間がもったいない」と私は思う。

 

『嫌われる勇気』の中では劣等感について、このように言っている。

  

『われわれを苦しめる劣等感は「客観的な事実」でなく、「主観的な解釈」』 なのである。

(『嫌われる勇気』 P76)

 

つまり「誰もが納得できる客観的事実」が劣等感の原因なのではなく、

「自分自身の勝手な思い込み」が劣等感の原因なのだ。

 

この考えは誰しもが参考にすべきだ。

 

例えば、あなたが「私は会話を盛り上げるのが上手くない」という考えを持っているとする。

しかし、それは

 

・何も基準がなく

・何も定義がなく(盛り上げる、上手い、の定義)

・私が判断したに過ぎない

 

ということである。

 

自分の勝手な基準と思い込みで、自分自身で価値を下げようとしてはならない。

 

さらにいう、

「会話を盛り上げるのが上手くない」ということは、必ずしも悪いことではない。

反対に「会話をせずにリラックスできる」とポジティブな印象に捉えられることも

考えられる。あるいは「不器用で可愛い」と好意的に思ってもらえるかもしれない。

 

実際、私は美容室ではあまり関係ないことをベラベラ話されるよりは、

必要最低限の髪に関する提案やアドバイス、有益な商品のご案内さえしてくれれば、

あとは自分がリラックスできる時間を与えてほしいと思っている。 

天気の話や、美容師さん自身の趣味など、正直私にはどうでもよい。

 

ポジティブな側面とネガティブな側面は表裏一体なのである。

 

背が高い人は、頼もしさはあるが、威圧感もある。

背が低い人は、頼もしさはないが、威圧感もない。

結局は皆、良い側面も悪い側面もあるということだ。

 

もしかすると、皆さんの先輩や上司の中に「もっとポジティブになりなさい」と

いう人がいるかもしれないが、無理にポジティブになる必要はないと私は考えている。

 

ネガティブな人は、危機意識や注意力が高い人ともいえるし、

無理に突っ走るポジティブな人を冷静に抑えてくれることだってあるかもしれない。

 

大切なのは自分自身を認めてあげることである。

そして、誰かと比べず、自分自身の変化や成長に目を向けるべきである。

 

そろそろ、新たな門出を迎える季節である。

どうか皆さんが胸を張って出発できることを願っている。

 

 

 

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