2021年4月、皆様の企業には新入社員は入社しただろうか?
また、新入社員の皆さんは4月を終え、どうだっただろうか?
どのサロン経営者や幹部も、新入社員の教育で一度や二度は悩んだことがあるだろう。
いや、常々頭を抱えているのかもしれない。
逆の立場でいうと
どのサロンの新入社員も、
「成長できているか不安」
「上手く仕事ができるか心配」と悩んだことがあるだろう。
いや、今も不安でいっぱいかもしれない。
サロンにとってスタッフの「教育」は最重要課題の一つといえる。
なぜなら、スタッフが成長しない限り、サロンの売上増や発展はありえないのだから。
よりよいサロンにするためには、より良い教育が必要であり、
新たな商品やサービス、技術、機材を導入するのと同じく、
教育も新しくしていかなければならないのである。
教育を新しくするとは、例えば、書籍の英語辞典から、電子辞典に変え、
ネットやアプリの辞典というようにツールを変えていくのもひとつであるが、
今回お話したいのは教育方法である。
更にいうと「教育する側の教え方」である。
結論からいうと「答えを教えない教育方法」を新たな教育として近年、多くの企業やスクールなどが導入している。
なぜ、答えを教えない方法が注目されているのか?
ここ30年の日本の教育について簡単に振り返ると、今から30年以上前までは座学や記憶型の教育が主流で、
教師や講師が一方向的に教えることが「教育」であった。
しかし、今は「知識を実際にどう活用できるか、仕事や普段の生活にどう活かせるか」
の観点へとシフトしてきている。
つまり「受験勉強ができても、社会で通用するかは別」という話と同じである。
それは、社会は知識を覚えることよりも、考えて行動することの方が圧倒的に必要であり、
重要であるからである。
例えば、美容師でいうと、
「覚えなければならない仕事」
↓
<例>
商品名、商品詳細、レジの打ち方、顧客管理の仕方
<特徴 >
知識としてひたすら頭に入れる
<ポイント>
正解はひとつ。教える中身は同じのためマニュアルなどで代用も可能
「考えなければならない仕事」
↓
<例 >
お客様への接客施術、提案、スケジューリング、クレーム対応、SNS投稿etc
<特徴>
TPOに応じて自ら考え行動する必要がある
<ポイント>
正解も不正解も無限。考え方を伝え、失敗や成功体験を積ませ、成長を促す。
上記のとおり、覚えるだけで完了する業務はほとんどなく、
知識があること以上に、知識をいかに上手に使うかが求められる。
考えなければならない仕事を身に着けるためには、大前提として
「正解も不正解も無限」
ということを教わる側も教える側も理解していなければならないことである。
「可愛いショートボブにするためには、まずはバックを〇cm切り、次にサイドを…」
などと教える必要はない。
可愛くするのがゴールであるので、方法や手順はいくらでもあるのである。
正解不正解はいくらでもあるということを理解したうえで、指導者がおこなうべき教育は
1、考えさせる(行動させる)
2、考え方を伝える(行動の仕方を伝える)
3、考えたことをフィードバックする(行動したことをフィードバックする)
4、実際に活用する
例えば、「先日起こったお客様へのクレームに関する対応方法を考える」というお題を出したとして
1、クレーム対応方法を考えさせる
●正解不正解は無限にあることを伝える
2、クレーム対応に関する考え方を伝える
●お客様に満足していただくために対応をするのが目的
●お客様の気持ちを考えることが重要
●クレーム対応には、初動の早さが重要であること etc
3、フィードバックする
●やってみた感想を述べる
●指導者から「良かった点」「もっとこうした方が良いと感じた点」を伝える
●社内やサロン内で共有する
4、実際に活用する
●活用できた場合は、なぜそれができたかを共有する
●活用できなかった場合は、なぜできなかったかを共有する
このように「答えを教えない」ことをすることによって、
学習者は
「自らで考えたこと」と
「行動できたこと」
「行動できなかったこと」が
蓄積され、成長していくのである。
とはいえ、答えを教えない教育は
■時間や手間がかかる
■指導者のスキルが必要
特に「考えさせるより、教えてしまった方が楽」と考えてしまい、
どうしても諦めてしまう傾向がある。「答えを教えない教育」は根気が必要である。
私自身も「答えを教えない教育」に関する講習をおこなっているが、受講者からは「実際はなかなかうまくいかない」という言葉をよくいただく。
いずれにしても教育は一筋縄ではいかないことを念頭に置いたうえで、
ぜひ答えを教えない教育を検討していただきたい。
『答えを教えない教育法』(鳥原隆志 著 / WAVE出版)
上記書籍に「答えを教えない教育」に関する内容が詰まっている。
私が近年読んだ教育に関する書籍のなかでも、なかなかの良書だった。
教育に携わる方々にはおススメである。
教育の唯一の成功方法は、諦めないこと。
ぜひ、大切なスタッフを諦めずに育成してほしい。
2021年05月13日