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【第6回 コラム】 ピンチをチャンスに変えるために

 

「新型コロナウィルスの影響による倒産(負債1千万円以上、準備中含む)が10月は

105件に達した。東京商工リサーチが30日発表した。月別では6月の103件を上回って

最多となった。経済活動の再開でいったんは減少したが、9月から再び増加傾向が続いている」

(2021.10.31(土)15:30朝日新聞デジタル / 「小規模企業が息切れ10月コロナ倒産最多105件」)

https://www.asahi.com/articles/ASNB04RX7NBZULFA01X.html?ref=newspass

 

 

私は仕事で東京・名古屋・大阪・福岡など、全国各地に足を運んでいる。

春夏は緊急事態宣言の影響もあり、出張をしばらく控えていたが、8月頃から出張が増え

大都市に出向くと、それまでにぎわっていた飲食店が閉店している光景を目の当たりにする。

とりわけ狭い通りに店が並ぶ商店街エリアや外国人でにぎわうインバウンドエリアの

状況が一変している。仕事柄、無意識に美容室を見つけると、にぎわっているかどうかが

気になり覗いてしまうのだが、苦しそうなお店もあるのが事実だ。

 

息切れ倒産は2021年、更に増加するであろうと見立てる経済学者もいるが、

私もその可能性は十分にあると考えている。Go Toトラベルキャンペーンは

非日常に対する投資促進であり、それを利用する人や機会は一部に限られる。

一方、日常生活に関する投資は、経済の回復にともない徐々に促進されるわけで、

そう簡単に増加するわけではない。息切れ倒産する企業が増加する可能性があるのは、

やはり十分に考えられる。

 

美容業界も大なり小なり影響はあった。しかしながら、全国各地のサロンに伺うと

「現状はそこまででもない」という声を耳にする。10月9日の理美容ニュースで、

8月度の理美容サービスの数値に関する記事が取り上げられていたが、コロナ渦前の

前年同月と比べて美容サービス計が93%と、10%以内に減少がとどまっているのは

「そこまででもない」表れなのかもしれない。

 

項目 :  前年同月比 : 前月比

消費支出  : 93 : 104
理髪料   : 94 : 105
パーマネント代  : 111 : 106
カット代     : 100 : 102
その他の理美容料金 : 88 : 95
美容サービス計(*): 93 : 99

*入浴料は含まず

 

理美容サロンは回復傾向Posted on | 10月 9, 2020

 

このような数値だけ見ると少しは安心できるかもしれないが、

いずれにしてもピンチな状況であることは変わりない。

 

2020.10.26の日経ビジネスの特集で「しぶとい会社 ピンチをチャンスにする技術」と

題した記事に興味深い内容が掲載されていた。

 

「経営学や組織論の世界では、
『危機を好機に変える技術』はあらかた確立されている。それは次の4つだ。」

 

ピンチをチャンスに変える4技術

1「遠大な視野を持つ」

 ・長期目線を大切にする

 ・最悪の事態を想定する

 ・逆算して行動を決める

2「社員の自己肯定感」

 ・自らの強み、弱みを整理する

 ・ミッションを明確にする

 ・自信を持つ

3「他者を巻き込む風土」

 ・抱え込まず、周囲と連携する

 ・外向きの目を大切にする

 ・危機感、すべきことを共有する

4「現場優先の意思決定」

 ・自分自身の足で立つ

 ・お互いを信頼し合う

 ・素早く反応する

(日経ビジネス2020.10.26 No.2063 P29 参照)

 

自社の経営や店舗運営の参考にしてもらいたい。

 

1~4をサロンに当てはめて考えてみると。

 

1「遠大な視野を持つ」という点においては、「集客」「求人」「教育」に関して、
先々を見通した戦略や、非常事態を想定した予防策、対応策の検討などがあげられる。

 

2「社員の自己肯定感」という点においては、サロン・個人として、いつまでに、
どのような目標設定をするか。そして、たてた目標に対してどのような方法(強み)で達成するか。
また、達成度に対する評価の明確化などがあげられる。

 

3「他者を巻き込む風土」という点においては、日々のサロン内コミュニケーションや、
店舗や組織をまたいだ連携などがあげられる。

 

4「現場優先の意思決定」という点においては、トップダウンの企画や計画だけでなく、
ボトムアップの企画や計画の検討。新卒生や若手社員にも当事者意識をもたせる、
役割づくりなどがあげられる。

 

私があげたのはほんの一例であり、まだまだ組織としてやるべきことは山ほどあるだろう。

ピンチのときほど様々な情報を取り入れ、冷静に取捨選択し、スピード感をもって行動し、

常に改善を図る必要がある。

 

ぜひ自社なりの「ピンチをチャンスに変える方法」を考え、乗り越えていってほしい。

 

 

 

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